カズマ
「アイツが学校来んようになってから今日でもう3日か・・・。
転校生、あれからどないしとんのやろ?」
ヨシテル
(あいつ、今日もズル休みするつもりか・・・)
「シンヤ君、起きなさい!いつまで学校休む気だ?もう5日目だぞ。
選手の君がそんなでどうする?シンヤ君?」
「・・・」
「家出、か。無理も無いな」
新春駅伝ライジングスターズ
第四話
練
習
、
逃げ出した後
ヨシテル 「14歳だもんな〜。駅伝の入賞を背負わせるのは、やっぱ、酷か」
マリコ 「でも、私たちは駅伝を14歳の子供達に委ねざるをえないのよ。…で、シンヤ君からの連絡は?…無いの?」
ヨシテル 「・・・無いよ。・・・彼、もう戻らないかもしれない」
マリコ 「どうするつもり?」
ヨシテル 「別に。戻らないならその方がいいかも。彼にとって、走ることが苦痛でしかないのなら、もう走らない方が良い」
マリコ 「でも、選手は必要よ」
係員
「平畝、シンヤ君だね。R☆S保安諜報部の者だ。
保安条例第八項の適用により、君を本部まで連行する。いいね?」
シンヤ
「…はい」
ヨシテル 「歩きまわって気は済んだ?平畝シンヤ君」
シンヤ 「別に、どうでもよくなりました。何もかも。僕に自由なんて無いんだ…。どうせ僕は駅伝を走るしかないんですよね。そのためだけに父さんに呼ばれたんだから。いいですよ、走りますよ。それで皆がいいんだったら、僕はいいですよ」
ヨシテル 「皆って、君はどうなんだ」
シンヤ 「僕には無理だってことはわかってるんですよ。みんなも分かってるんだきっと。それでも怪我した岩澤や、ヨシテルさんや父さんや・・・」
ヨシテル 「いい加減にしろ!人のことなんか関係ないだろう!?R☆Sの選手を続けるかどうか、君自身が決めるんだ。嫌ならここを出て行ってもいい。全て君の自由だ。好きにすればいい」
マリコ 「平畝選手は、明日、第三新昭島市を離れます」
ケンスケ 「では、初号機のデータはナガテルに書き換える」
マリコ 「しかし・・・」
ケンスケ 「6人目の適格者はまだ見つかっていない」
マリコ 「選手の補充はできないと言うことですか・・・」
-第三新昭島駅-
シンヤ 「あ、ヨシテルさんはどこですか?一言お別れを・・・」
係員「君は既にR☆Sの人間ではない。どのようなことも、教えられない」
カズマ 「平畝!」
シンヤ 「あっ」
カズマ 「平畝、二発もどついたりして悪かった。ワシのこともどついてくれ!頼む!せやないとワシの気が済まん!」
シンヤ 「でも・・・」
カズマ 「早う!時間無いんやろ!?」
シンヤ 「じ、じゃあ、一発だけ」
カズマ 「おし、来んかい!」
バキッ
カズマ
「平畝がおらんようになるのは残念やけど、ワシら何も言われへん。
走りながら苦しんでる平畝の姿、見てるからなあ。
平畝のことごちゃごちゃ抜かす奴がおってみい、
ワシがただじゃおかんで!
・・・そない辛気臭い顔すんなや。
元気でな。頑張れや」
シンヤ
「…っ!
殴られなきゃいけないのは僕だ!
僕は卑怯で、臆病で!
…ずるくて、弱虫で…」
-本部-
シンヤ
「…僕を、僕を…走らせてくださいっ!」
ケンスケ
「何故ここにいる…?」
シンヤ
「僕は…僕は、ライジングスターズの選手、平畝シンヤです!」
シンヤ
「た、ただいま・・・!」
ヨシテル
「お帰りなさい・・・!」
第壱部:序
完
第弐部:破
予告
配属されるR☆S 2号機とその選手。
選出される6人目の適格者。
そして決定される区間配置。
次第に壊れていく平畝シンヤの物語は、果たして何処へと続くのか。
さぁて、この次も、アールエスアールエスぅ!
「アイツが学校来んようになってから今日でもう3日か・・・。
転校生、あれからどないしとんのやろ?」
ヨシテル
(あいつ、今日もズル休みするつもりか・・・)
「シンヤ君、起きなさい!いつまで学校休む気だ?もう5日目だぞ。
選手の君がそんなでどうする?シンヤ君?」
「・・・」
「家出、か。無理も無いな」
新春駅伝ライジングスターズ
第四話
練
習
、
逃げ出した後
ヨシテル 「14歳だもんな〜。駅伝の入賞を背負わせるのは、やっぱ、酷か」
マリコ 「でも、私たちは駅伝を14歳の子供達に委ねざるをえないのよ。…で、シンヤ君からの連絡は?…無いの?」
ヨシテル 「・・・無いよ。・・・彼、もう戻らないかもしれない」
マリコ 「どうするつもり?」
ヨシテル 「別に。戻らないならその方がいいかも。彼にとって、走ることが苦痛でしかないのなら、もう走らない方が良い」
マリコ 「でも、選手は必要よ」
係員
「平畝、シンヤ君だね。R☆S保安諜報部の者だ。
保安条例第八項の適用により、君を本部まで連行する。いいね?」
シンヤ
「…はい」
ヨシテル 「歩きまわって気は済んだ?平畝シンヤ君」
シンヤ 「別に、どうでもよくなりました。何もかも。僕に自由なんて無いんだ…。どうせ僕は駅伝を走るしかないんですよね。そのためだけに父さんに呼ばれたんだから。いいですよ、走りますよ。それで皆がいいんだったら、僕はいいですよ」
ヨシテル 「皆って、君はどうなんだ」
シンヤ 「僕には無理だってことはわかってるんですよ。みんなも分かってるんだきっと。それでも怪我した岩澤や、ヨシテルさんや父さんや・・・」
ヨシテル 「いい加減にしろ!人のことなんか関係ないだろう!?R☆Sの選手を続けるかどうか、君自身が決めるんだ。嫌ならここを出て行ってもいい。全て君の自由だ。好きにすればいい」
マリコ 「平畝選手は、明日、第三新昭島市を離れます」
ケンスケ 「では、初号機のデータはナガテルに書き換える」
マリコ 「しかし・・・」
ケンスケ 「6人目の適格者はまだ見つかっていない」
マリコ 「選手の補充はできないと言うことですか・・・」
-第三新昭島駅-
シンヤ 「あ、ヨシテルさんはどこですか?一言お別れを・・・」
係員「君は既にR☆Sの人間ではない。どのようなことも、教えられない」
カズマ 「平畝!」
シンヤ 「あっ」
カズマ 「平畝、二発もどついたりして悪かった。ワシのこともどついてくれ!頼む!せやないとワシの気が済まん!」
シンヤ 「でも・・・」
カズマ 「早う!時間無いんやろ!?」
シンヤ 「じ、じゃあ、一発だけ」
カズマ 「おし、来んかい!」
バキッ
カズマ
「平畝がおらんようになるのは残念やけど、ワシら何も言われへん。
走りながら苦しんでる平畝の姿、見てるからなあ。
平畝のことごちゃごちゃ抜かす奴がおってみい、
ワシがただじゃおかんで!
・・・そない辛気臭い顔すんなや。
元気でな。頑張れや」
シンヤ
「…っ!
殴られなきゃいけないのは僕だ!
僕は卑怯で、臆病で!
…ずるくて、弱虫で…」
-本部-
シンヤ
「…僕を、僕を…走らせてくださいっ!」
ケンスケ
「何故ここにいる…?」
シンヤ
「僕は…僕は、ライジングスターズの選手、平畝シンヤです!」
シンヤ
「た、ただいま・・・!」
ヨシテル
「お帰りなさい・・・!」
第壱部:序
完
第弐部:破
予告
配属されるR☆S 2号機とその選手。
選出される6人目の適格者。
そして決定される区間配置。
次第に壊れていく平畝シンヤの物語は、果たして何処へと続くのか。
さぁて、この次も、アールエスアールエスぅ!
そういえば、2週間程前にこんな記事があった。
「都立高の推薦枠 大幅減」
東京都教育委員会は、現在の中学2年生が受験する2011年度の都立高校入試から、推薦入試の募集枠を大幅に削減する方針を決めた。全募集枠の4分の1を占める推薦入試枠は学力試験がないため、「競争性に欠ける」という指摘があがっており、都教委は「進学指導重点校」を中心に半減したい考え。
(2009.11/8 読売新聞より)
だ、そうで。
個人的には
「…別に」
という感じだ。
むしろ、どちらかというと歓迎か。
現行の推薦入試では、
「ただ内申点が高いだけの子」が合格し、
その代わりに誰かが泣くはめになる可能性が高い訳で。
(実際は、学力も内申点もある程度兼ね備えた子が合格するケースの方が多いのだろうけど)
そもそも、内申点って何なんだろう。
内申点の高い子を、
・コツコツと努力ができ、人が求めるものを察知し、実行できる社会性のある人間
・大して実力はないが、人の顔色をうかがうことが得意で、積極性があるだけの人間
のどちらとして捉えるか。
あるいは、内申点の低い子を、
・ちょっと控えめなだけで印象が悪くなってしまっているかわいそうな人間
・「提出物の期限は守る」「人の話を聞く」といった最低限のルールも守れない人間
のどちらとして捉えるかで、この話は大きく変わってくるのだけれど。
まあ、上記のような話が出てくる時点で、何らかの問題が現場で起きていることは確かだ。
(推薦で合格した生徒の多くが授業についていけていない、など)
ただ、都教委の会議にて、
「内申書を作る教師の考えで差が出るのは不公平」といった声が出たそうだが、
この意見に関しては多くの人が概ね納得するのではなかろうか。
この業界にいる人間なら尚更感じることだ。
「なんでこの子の成績が5なんだろう。模試では偏差値50もないのに…」
「実力もあって提出物や授業態度も悪くないはずなのに、なぜ3なんだろう…」
「学校間で成績のつけかたや定期テストの難易度に差がありすぎないか!?」
等々。
現在の「内申点」システムにはブラックボックス的要素が多すぎる。
先日、平畝先生から伺った話によると、中学校によっては、
「この子は志望校に内申が足りていないから上げよう」
「この子はもう十分足りているから上げなくてよいだろう」
といった「操作」が加わる学校さえあるらしい。
さらに、東京都の場合は3年2学期の内申「のみ」を入試に使うからタチが悪い。
最後のテストだけ頑張れば良いのか、
1年生の時から努力してきたのに、最後のたった1回のミスで全て失ってしまうのか、
みたいな。
まあ、自分たちは体制側の人間ではないので、
与えられた入試制度の中で勝利していくしかないのだけれど。
環境が変えられないなら、
自分達自身がその環境に適応し、進化していくしかないからね。
お後がよろしいようで。
文系チーフ
高橋
「都立高の推薦枠 大幅減」
東京都教育委員会は、現在の中学2年生が受験する2011年度の都立高校入試から、推薦入試の募集枠を大幅に削減する方針を決めた。全募集枠の4分の1を占める推薦入試枠は学力試験がないため、「競争性に欠ける」という指摘があがっており、都教委は「進学指導重点校」を中心に半減したい考え。
(2009.11/8 読売新聞より)
だ、そうで。
個人的には
「…別に」
という感じだ。
むしろ、どちらかというと歓迎か。
現行の推薦入試では、
「ただ内申点が高いだけの子」が合格し、
その代わりに誰かが泣くはめになる可能性が高い訳で。
(実際は、学力も内申点もある程度兼ね備えた子が合格するケースの方が多いのだろうけど)
そもそも、内申点って何なんだろう。
内申点の高い子を、
・コツコツと努力ができ、人が求めるものを察知し、実行できる社会性のある人間
・大して実力はないが、人の顔色をうかがうことが得意で、積極性があるだけの人間
のどちらとして捉えるか。
あるいは、内申点の低い子を、
・ちょっと控えめなだけで印象が悪くなってしまっているかわいそうな人間
・「提出物の期限は守る」「人の話を聞く」といった最低限のルールも守れない人間
のどちらとして捉えるかで、この話は大きく変わってくるのだけれど。
まあ、上記のような話が出てくる時点で、何らかの問題が現場で起きていることは確かだ。
(推薦で合格した生徒の多くが授業についていけていない、など)
ただ、都教委の会議にて、
「内申書を作る教師の考えで差が出るのは不公平」といった声が出たそうだが、
この意見に関しては多くの人が概ね納得するのではなかろうか。
この業界にいる人間なら尚更感じることだ。
「なんでこの子の成績が5なんだろう。模試では偏差値50もないのに…」
「実力もあって提出物や授業態度も悪くないはずなのに、なぜ3なんだろう…」
「学校間で成績のつけかたや定期テストの難易度に差がありすぎないか!?」
等々。
現在の「内申点」システムにはブラックボックス的要素が多すぎる。
先日、平畝先生から伺った話によると、中学校によっては、
「この子は志望校に内申が足りていないから上げよう」
「この子はもう十分足りているから上げなくてよいだろう」
といった「操作」が加わる学校さえあるらしい。
さらに、東京都の場合は3年2学期の内申「のみ」を入試に使うからタチが悪い。
最後のテストだけ頑張れば良いのか、
1年生の時から努力してきたのに、最後のたった1回のミスで全て失ってしまうのか、
みたいな。
まあ、自分たちは体制側の人間ではないので、
与えられた入試制度の中で勝利していくしかないのだけれど。
環境が変えられないなら、
自分達自身がその環境に適応し、進化していくしかないからね。
お後がよろしいようで。
文系チーフ
高橋
と、言っても
蜂ではない。
宮本でもない。
「むすびのむさし」だ。
これは関東では恐らくない。
見たことが無いので…。
そこのうどんが好きだ〜。
以前、広島に帰った時も新幹線の時間と闘いながらも
うどんを食べた。
言わずと知れてると思うが、関東と関西のうどんは違う。
カップラーメンでさえ違うんだから、店となれば断然違うのだ。
そのうどんで、「久々に食べたい」と思ったのが「肉うどん」だ。
こちらでは意識をしていないからなのか見た記憶がない。
そして、広島に居たころはそんなに好きではなかった。
しかし、急に食べたいと思ったのだ。
そんな「むすびのむさし」。
気になったら行ってみてもらえばと思う。
別に「むすびのむさし」のまわし者ではないので…。
さて、定期テストも佳境を迎える。
早い学校ではもう終わったところもある。
これが終わればいよいよ三年生は「受験に向けて」の勉強が本格的になる。
一・二年生はクリスマスとお正月かな…?
いやいや、「来年を見据えて」の勉強になる。
やはり勉強を精一杯した子と、どこかで不完全燃焼の子はテスト後にハッキリと分かる。
(もちろん、テスト前でも分かるが…)
今回のテストでは、中3もやはり受験目前となって死に物狂いでやっていたと思う。
しかし、今回注目したのは中2だ。
クラスのほとんどが、今まで以上に自習に来ていた。
各個人がきちんと自分のすべきことを把握し行っていた。
この癖がしっかりとつけば強いだろう。
勝グセをつけていけるだろう。(多分)
中2の結果も気になるが、やはり中3の皆の結果が一番気になる。
これで決まるしな…。
あぁ、今年も受験の時期がやって来る。
全国の大学・高校・中学受験生の皆様も風邪をひかぬよう
精一杯がんばって下さい。
蜂ではない。
宮本でもない。
「むすびのむさし」だ。
これは関東では恐らくない。
見たことが無いので…。
そこのうどんが好きだ〜。
以前、広島に帰った時も新幹線の時間と闘いながらも
うどんを食べた。
言わずと知れてると思うが、関東と関西のうどんは違う。
カップラーメンでさえ違うんだから、店となれば断然違うのだ。
そのうどんで、「久々に食べたい」と思ったのが「肉うどん」だ。
こちらでは意識をしていないからなのか見た記憶がない。
そして、広島に居たころはそんなに好きではなかった。
しかし、急に食べたいと思ったのだ。
そんな「むすびのむさし」。
気になったら行ってみてもらえばと思う。
別に「むすびのむさし」のまわし者ではないので…。
さて、定期テストも佳境を迎える。
早い学校ではもう終わったところもある。
これが終わればいよいよ三年生は「受験に向けて」の勉強が本格的になる。
一・二年生はクリスマスとお正月かな…?
いやいや、「来年を見据えて」の勉強になる。
やはり勉強を精一杯した子と、どこかで不完全燃焼の子はテスト後にハッキリと分かる。
(もちろん、テスト前でも分かるが…)
今回のテストでは、中3もやはり受験目前となって死に物狂いでやっていたと思う。
しかし、今回注目したのは中2だ。
クラスのほとんどが、今まで以上に自習に来ていた。
各個人がきちんと自分のすべきことを把握し行っていた。
この癖がしっかりとつけば強いだろう。
勝グセをつけていけるだろう。(多分)
中2の結果も気になるが、やはり中3の皆の結果が一番気になる。
これで決まるしな…。
あぁ、今年も受験の時期がやって来る。
全国の大学・高校・中学受験生の皆様も風邪をひかぬよう
精一杯がんばって下さい。
-学校-
バキッ
カズマ
「すまんなぁ、転校生。ワシはお前を殴らないかん。
殴っとかな気が済まへんのや。 この間、お前が転倒した時に、
ワシの妹が巻き添えで怪我したんや」
シンヤ
「僕だって、走りたくて走ってるわけじゃないのに・・・」
「どこが人に褒められることなんだろう。
走ってたって言うだけで、なんで殴られるんだよ・・・!」
新春駅伝ライジングスターズ
第参話
鳴らない、電
話
マリコ 「いい、シンヤ君?
中継所の位置、非常用給水、回収スポット、全部頭に入っているわね?」
シンヤ 「たぶん・・・」
マリコ 「では、昨日の続き。インダクションモード、始めるわよ。
前の走者を視界のセンターに入れて。スパート・オン」
サトミ 「しかし、よく走る気になってくれましたね、シンヤ君」
マリコ 「『人の言うことにはおとなしく従う』、それがあの子の処世術じゃないの?」
シンヤ
「目標をセンターに入れてスパート・・・。
目標をセンターに入れてスパート・・・。
目標をセンターに入れて・・・」
マリコ 「そう言えばシンヤ君、転校初日からクラスメイトに殴られたそうじゃない。
選手のセキュリティ、大丈夫なの?」
ヨシテル 「大した怪我じゃないし大丈夫だよ。ただ、彼、思ったよりナイーブでね・・・。 いまだに誰からも電話やメールはこないし・・・」
マリコ 「電話?」
ヨシテル 「ずいぶん前に携帯を渡したんだけど、自分で使ったり、誰からもかかってきた様子が無くてさ。あいつ、ひょっとして友達いないんじゃないかな。」
マリコ 「そうね、確かにシンヤ君って、友達を作るには不向きな性格かもしれないわね。今のシンヤ君は、心のどこかで、相手や自分が傷つく痛みにおびえて臆病になっているんでしょうね」
ヨシテル 「ま、そのうち気付くさ。
大人になるってことは、近づいたり離れたりを繰り返して、
お互いが余り傷つかずにすむ距離を見付け出す、ってことに」
マリコ 「そうなるといいわね・・・」
サトミ 「移動物体を光学で捕捉。
分析パターン、青。
駅伝です!」
ヨシテル 「総員、第一種戦闘配置!」
ヨシテル 「シンヤ君、出走。いいな?」
シンヤ 「はい・・・」
マリコ 「敵のR.S.フィールドを中和しつつ近づいて。射程距離に入ったら一斉スパート。練習通り、大丈夫ね」
シンヤ 「はい」
ヨシテル 「発進!」
ヨシテル 「馬鹿、そんな速いペースで入ったらもたない!」
シンヤ 「はあ、はあっ・・・」
カズマ 「おっ、駅伝か…あいつ、また走っとんのか…。
何や、もうバテとるでぇ?」
ヨシテル 「シンヤ君、大丈夫か、シンヤ君!?
・・・ダメージは?」
サトミ 「問題なし。行けます!」
シンヤ 「うぅっ、うっ!・・・あっ!」
ヨシテル 「シンヤ君のクラスメイト!」
マリコ 「何故こんなところに?
シンヤ 「うっ、うわっ!」
カズマ 「なんで走らんのや!?
・・・ワシに殴られたから、自由に走れないんか・・・!」
サトミ 「平畝選手、走行限界まで、あと3分28秒!」
ヨシテル 「・・・シンヤ君、そこの彼を救護車両へ回収した後、一時退却。出直すぞ!」
カズマ 「転校生、逃げろ言うとるで!転校生!?」
シンヤ 「・・・逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ・・・!」
ヨシテル 「シンヤ君、命令を聞け!退却だ!シンヤ君っ!」
シンヤ 「うわああああああああああああ!!!」
ヨシテル 「あの馬鹿っ・・・!」
シンヤ 「うわあああああっ!!」
サトミ
「平畝選手、走行限界まであと30秒!
28、27、26、25・・・
・・・10、9、8、7、6、5、4、3、2、1・・・。
R☆S平畝選手、走行停止。
目標は完全に沈黙。抜き去ることに成功しました」
シンヤ 「はっ、はっ、はっ、はぁっ・・・」
ヨシテル 「どうして命令を無視した?」
シンヤ 「ごめんなさい」
ヨシテル 「君の作戦責任者は僕だ。君は僕の命令に従う義務がある。分かるか?」
シンヤ 「はい」
ヨシテル 「今後、こういうことの無いように」
シンヤ 「はい」
ヨシテル 「お前なあ、なんでも適当にはいはい言ってりゃいいってもんじゃないだろ!?」
シンヤ 「分かってますよ、ちゃんと。・・・もう良いじゃないですか、勝ったんだから」
ヨシテル「そうやって、表面だけ人に合わせてたら楽だろうけど、そんな気持ちで駅伝を走ってたら、負けるぞ!」
シンヤ「良いですよ、そんなの」
ヨシテル 「いい覚悟だ、と言いたいところだけど、褒められると思ったら大間違いだ、平畝シンヤ君」
シンヤ 「褒められるも何も、どうせ僕しか走れないんでしょ。走りますよ」
次回予告
自分の心を克服できず、ヨシテルからも逃げ出すシンヤ。
だが、組織は少年をあっさりと連れ戻す。
そこに優しい言葉は無かった。
次回、
「練習、逃げ出した後」。
この次も、アールエス、アールエスぅ!
バキッ
カズマ
「すまんなぁ、転校生。ワシはお前を殴らないかん。
殴っとかな気が済まへんのや。 この間、お前が転倒した時に、
ワシの妹が巻き添えで怪我したんや」
シンヤ
「僕だって、走りたくて走ってるわけじゃないのに・・・」
「どこが人に褒められることなんだろう。
走ってたって言うだけで、なんで殴られるんだよ・・・!」
新春駅伝ライジングスターズ
第参話
鳴らない、電
話
マリコ 「いい、シンヤ君?
中継所の位置、非常用給水、回収スポット、全部頭に入っているわね?」
シンヤ 「たぶん・・・」
マリコ 「では、昨日の続き。インダクションモード、始めるわよ。
前の走者を視界のセンターに入れて。スパート・オン」
サトミ 「しかし、よく走る気になってくれましたね、シンヤ君」
マリコ 「『人の言うことにはおとなしく従う』、それがあの子の処世術じゃないの?」
シンヤ
「目標をセンターに入れてスパート・・・。
目標をセンターに入れてスパート・・・。
目標をセンターに入れて・・・」
マリコ 「そう言えばシンヤ君、転校初日からクラスメイトに殴られたそうじゃない。
選手のセキュリティ、大丈夫なの?」
ヨシテル 「大した怪我じゃないし大丈夫だよ。ただ、彼、思ったよりナイーブでね・・・。 いまだに誰からも電話やメールはこないし・・・」
マリコ 「電話?」
ヨシテル 「ずいぶん前に携帯を渡したんだけど、自分で使ったり、誰からもかかってきた様子が無くてさ。あいつ、ひょっとして友達いないんじゃないかな。」
マリコ 「そうね、確かにシンヤ君って、友達を作るには不向きな性格かもしれないわね。今のシンヤ君は、心のどこかで、相手や自分が傷つく痛みにおびえて臆病になっているんでしょうね」
ヨシテル 「ま、そのうち気付くさ。
大人になるってことは、近づいたり離れたりを繰り返して、
お互いが余り傷つかずにすむ距離を見付け出す、ってことに」
マリコ 「そうなるといいわね・・・」
サトミ 「移動物体を光学で捕捉。
分析パターン、青。
駅伝です!」
ヨシテル 「総員、第一種戦闘配置!」
ヨシテル 「シンヤ君、出走。いいな?」
シンヤ 「はい・・・」
マリコ 「敵のR.S.フィールドを中和しつつ近づいて。射程距離に入ったら一斉スパート。練習通り、大丈夫ね」
シンヤ 「はい」
ヨシテル 「発進!」
ヨシテル 「馬鹿、そんな速いペースで入ったらもたない!」
シンヤ 「はあ、はあっ・・・」
カズマ 「おっ、駅伝か…あいつ、また走っとんのか…。
何や、もうバテとるでぇ?」
ヨシテル 「シンヤ君、大丈夫か、シンヤ君!?
・・・ダメージは?」
サトミ 「問題なし。行けます!」
シンヤ 「うぅっ、うっ!・・・あっ!」
ヨシテル 「シンヤ君のクラスメイト!」
マリコ 「何故こんなところに?
シンヤ 「うっ、うわっ!」
カズマ 「なんで走らんのや!?
・・・ワシに殴られたから、自由に走れないんか・・・!」
サトミ 「平畝選手、走行限界まで、あと3分28秒!」
ヨシテル 「・・・シンヤ君、そこの彼を救護車両へ回収した後、一時退却。出直すぞ!」
カズマ 「転校生、逃げろ言うとるで!転校生!?」
シンヤ 「・・・逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ・・・!」
ヨシテル 「シンヤ君、命令を聞け!退却だ!シンヤ君っ!」
シンヤ 「うわああああああああああああ!!!」
ヨシテル 「あの馬鹿っ・・・!」
シンヤ 「うわあああああっ!!」
サトミ
「平畝選手、走行限界まであと30秒!
28、27、26、25・・・
・・・10、9、8、7、6、5、4、3、2、1・・・。
R☆S平畝選手、走行停止。
目標は完全に沈黙。抜き去ることに成功しました」
シンヤ 「はっ、はっ、はっ、はぁっ・・・」
ヨシテル 「どうして命令を無視した?」
シンヤ 「ごめんなさい」
ヨシテル 「君の作戦責任者は僕だ。君は僕の命令に従う義務がある。分かるか?」
シンヤ 「はい」
ヨシテル 「今後、こういうことの無いように」
シンヤ 「はい」
ヨシテル 「お前なあ、なんでも適当にはいはい言ってりゃいいってもんじゃないだろ!?」
シンヤ 「分かってますよ、ちゃんと。・・・もう良いじゃないですか、勝ったんだから」
ヨシテル「そうやって、表面だけ人に合わせてたら楽だろうけど、そんな気持ちで駅伝を走ってたら、負けるぞ!」
シンヤ「良いですよ、そんなの」
ヨシテル 「いい覚悟だ、と言いたいところだけど、褒められると思ったら大間違いだ、平畝シンヤ君」
シンヤ 「褒められるも何も、どうせ僕しか走れないんでしょ。走りますよ」
次回予告
自分の心を克服できず、ヨシテルからも逃げ出すシンヤ。
だが、組織は少年をあっさりと連れ戻す。
そこに優しい言葉は無かった。
次回、
「練習、逃げ出した後」。
この次も、アールエス、アールエスぅ!